役吊 |
番号 |
台詞 | 注釈 |
*ジャスミンシリーズボイスドラマ企画 |
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【全体タイトルコール】 |
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茉莉花 |
001_001 |
「+Tears-Legend+。ボイスドラマ企画、ジャスミンシリーズ。春夏秋冬(しゅんかしゅうとう)《 |
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【本編】 |
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*春* |
茉莉花 |
002_002 |
「春夏秋冬。――春《 |
タイトルコール |
茉莉花 |
003_003 |
「恋をしました。叶わない恋を。……だいすきです、悠(はるか)さん《 |
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* |
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【外をぶらぶらと散歩している茉莉花、ハルカ、栗子】 |
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【花粉症につき、鼻をすする栗子】 |
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栗子 |
004_001 |
「っくしょーい!あー!もう、なんなのよ、なんなのよ花粉って!腹立つ、ムカつく、あり得ない!スギなんて全部燃やしちまえー!!《 |
鼻声気味 |
ハルカ |
005_001 |
「まあまあ、落ち着いてよ、リィ。せっかくのピクニック日和なんだからさ《 |
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栗子 |
006_002 |
「あーらハルカ。それ、花粉症持ちに対して、ケンカ売ってるとしか思えない発言よね。どうもありがとう。なにがピクニック日和よ、この敵が蔓延してる中出かけるとか、あったまおかしんじゃないの!?《 |
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茉莉花 |
007_004 |
「お姉ちゃんうるさい。外で騒がないでよ《 |
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栗子 |
008_003 |
「いいわよねー、茉莉花は花粉症じゃないものねー、春の陽気の中、桜見ながらのんびりできるわよねー。ぶへっくしょい!《 |
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茉莉花 |
009_005 |
「……なにこの人、めんどくさ。…………すみません、悠さん。せっかくのお出かけなのに《 |
ハルカ相手には声が柔らかくなる |
ハルカ |
010_002 |
「ははっ、なんでジャスミンちゃんが謝るの?大丈夫だよ。リィの我儘は今に始まったことじゃないしね。俺はこうやって歩いてるだけでも、すごく楽しいし《 |
幸せそうに |
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【笑い声が響いてくる→公園に差し掛かる】 |
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【風が吹き、桜吹雪が舞う】 |
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【茉莉花のかぶっていた帽子が飛びかけ、ハルカが押さえる】 |
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茉莉花 |
011_006 |
「きゃっ……!《 |
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ハルカ |
012_003 |
「おっと!大丈夫?はい、帽子。風が強いから、スカートにも気をつけてね《 |
悪気や下心は皆無 |
茉莉花 |
013_007 |
「あ、ありがとう、ございます……《 |
消え入るように |
栗子 |
014_004 |
「あーあー、いい雰囲気だことー。アタシも帽子飛ばされそうになって、頭押さえられたーい。あわよくばそのまま抱き締められたーい。そんで、見つめあった二人は!的な展開になりたーい《 |
軽く棒読み |
茉莉花 |
015_008 |
「お姉ちゃんっ!!《 |
途中で遮る |
ハルカ |
016_004 |
「もう、リィってば。……それにしても、本当に綺麗だね。桜吹雪って、なんだか魔法みたいだ《 |
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栗子 |
017_005 |
「あー、確かにアンタって、このままだと魔法使いになりそうだんねー《 |
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ハルカ |
018_005 |
「ちょっ、リィ!《 |
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栗子 |
019_006 |
「なーにー?どうかしたー??《 |
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茉莉花 |
020_009 |
「…………《 |
沈黙ののち、溜息 |
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【ハルカと栗子のやりとりを一歩下がった場所から見つめる茉莉花】 |
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【恋人同士にしか見えない二人に、思わず俯く】 |
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* |
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【独白】 |
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茉莉花 |
021_010 |
「叶わない恋をしました《 |
独白 |
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【背後でハルカと栗子のやりとりが繰り広げられている】 |
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茉莉花 |
022_011 |
「ある日突然、お姉ちゃんが彼氏を連れてきた。とっても優しそうな男の人。どこの誰かも教えてくれないし、二人は恋人同士じゃないって言ったけれど。でも、誰がどう見ても、二人はお似合いで《 |
最後、自嘲気味に |
* |
栗子 |
023_007 |
「だーかーらぁ、アタシとハルカは恋人でもなんでもないの。こんなヘタレ、アタシが相手にするわけないでしょーが《 |
|
ハルカ |
024_006 |
「いや、事実だけど、それってひどくない?《 |
苦笑 |
* |
茉莉花 |
025_012 |
「あたしはきっと、ただのバカだ《 |
|
* |
ハルカ |
026_007 |
「ジャスミンちゃん、おはよう《 |
|
栗子 |
027_008 |
「ちょっとまりかぁ、聞いてよー。ハルカがさー《 |
|
* |
茉莉花 |
028_013 |
「気がつけば、あの人の優しさに、惹かれていた。認めたくなんか、なかったけれど。あの人の優しさはあたしのものじゃないって、……最初から叶わないって、分かっていたけれど。それでも、あの人の声が、あたしを呼ぶ。……たったそれだけのことが、あたしを縛りつける《 |
|
* |
|
|
【公園;ぼうっとする茉莉花を覗き込むハルカ】 |
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ハルカ |
029_008 |
「ジャスミンちゃん?《 |
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茉莉花 |
030_014 |
「えっ……、あ、はいっ!《 |
はっとして |
ハルカ |
031_009 |
「大丈夫?ぼうっとしてたけど……。あ、まだ肌寒いし、もしかして風邪引いちゃったかな《 |
申し訳なさそうに |
茉莉花 |
032_015 |
「だ、大丈夫です。昨日寝上足だったので、たぶん、それで……。あの、すみません……《 |
|
ハルカ |
033_010 |
「そう?なら、いいんだけど……。それより、謝らなくていいよ。ジャスミンちゃんは悪いことしてないんだから。ね?《 |
|
茉莉花 |
034_016 |
「でも……《 |
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栗子 |
035_009 |
「そーよ、茉莉花。むしろハルカに謝らせなさい。こんな花粉まみれのところに連れてくるなんて、バカじゃないのって!《 |
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茉莉花 |
036_017 |
「お姉ちゃんは黙ってて《 |
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栗子 |
037_010 |
「アンタ、ほんとアタシには厳しいわよね《 |
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茉莉花 |
038_018 |
「姉妹で遠慮なんかするわけないでしょ《 |
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栗子 |
039_011 |
「ふうん……?遠慮、ねえ《 |
茉莉花の片思い事情を知った上での反応 |
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【突風が吹き抜け、桜が舞う】 |
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|
【慌てて帽子を押さえる茉莉花】 |
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栗子 |
040_012 |
「っくしょーい!《 |
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ハルカ |
041_011 |
「せっかくこんなにも綺麗なのに、風情がないなあ、リィは。……あ《 |
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【茉莉花に近づき、頬の近くに手を伸ばすハルカ】 |
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【緊張で肩をこわばらせる茉莉花】 |
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茉莉花 |
042_019 |
「ひゃっ……《 |
伸ばされた手に息を飲む |
ハルカ |
043_012 |
「――桜。まるごと飛ばされてきたみたいだね《 |
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茉莉花 |
044_020 |
「……え?《 |
拍子抜け |
ハルカ |
045_013 |
「髪飾りみたいだし、取るのはもったいないなあ。このままでもいい?《 |
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茉莉花 |
046_021 |
「え、あ、はい……っ《 |
なにかを期待していた自分が恥ずかしくて内心死にたい |
栗子 |
047_013 |
「……まったく《 |
小声。呆れたように |
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|
【少し離れて茉莉花の全身を確認するハルカ】 |
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ハルカ |
048_014 |
「んー、うん。似合ってる。かわいいよ、ジャスミンちゃん《 |
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茉莉花 |
049_022 |
「ッ……!《 |
恥ずかしさに言葉がでない |
* |
茉莉花 |
050_023 |
「――春。あたしは、魔法にかけられた《 |
|
*夏* |
栗子 |
051_014 |
「春夏秋冬。――夏《 |
タイトルコール |
栗子 |
052_015 |
「恋をしました。叶ったはずの、少し遠い恋を。……ふざけんな、馬鹿リュカ《 |
後半、強がりつつも拗ね気味に |
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【水族館】 |
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【気泡、水の音が静かに響く】 |
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ハルカ |
053_015 |
「イルカショーは……ええと、次は午後二時からか。まだ少し時間あるね《 |
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茉莉花 |
054_024 |
「そうですね。それまでにどこか見たいところ、ありますか?《 |
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栗子 |
055_016 |
「深海魚《 |
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|
|
【二人のパンフレットを捲る手が止まる】 |
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ハルカ |
056_016 |
「えっ?《 |
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茉莉花 |
057_025 |
「えっ?《 |
二人同時に |
栗子 |
058_017 |
「だから、深海魚。この水族館、去年あたりに深海コーナーが新設されたって言ってたじゃない。そこ行きましょうよ《 |
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茉莉花 |
059_026 |
「別にいいけど、深海魚って……《 |
引き気味 |
ハルカ |
060_017 |
「……深海コーナーって、あの……、真っ暗、だよね《 |
|
栗子 |
061_018 |
「まあ、深海だからねぇ《 |
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茉莉花 |
062_027 |
「でも水族館だから、足下には上自由しない暗さだと思いますよ?《 |
|
ハルカ |
063_018 |
「あ、うん、……うん。でもさ、ほら、アシカとか!ペンギンとか!ね?そういうかわいい動物の方が、ジャスミンちゃんも好きなんじゃないかなーって、うん《 |
しどろもどろ |
茉莉花 |
064_028 |
「え?え、まあ……?《 |
意図が分からずきょとーん |
栗子 |
065_019 |
「……ねえ、ハルカ。アンタ、もしかして怖いの?《 |
|
ハルカ |
066_019 |
「いやっ、そういうわけじゃ!《 |
|
栗子 |
067_020 |
「ふうーん。そうよねー、大の大人が、それも男が!たかだか水族館の深海コーナーが怖いなんて言うわけないものねーえ!よぉっし、行くわよー!《 |
生き生きした様子で |
ハルカ |
068_020 |
「リ、リィ~……《 |
困りきった様子 |
* |
|
|
【水族館;深海コーナー】 |
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|
【グロテスクな姿形の深海魚に内心ビビりまくりのハルカ】 |
|
ハルカ |
069_021 |
「ジャスミンちゃん、暗いけど大丈夫?怖かったらいつでも外に出るから言ってね《 |
無駄に紳士然として |
茉莉花 |
070_029 |
「あ、はい。あたしは大丈夫ですけど……《 |
ハルカの様子を伺うように |
栗子 |
071_021 |
「なにカッコつけてんのよ、自分が怖いくせに《 |
後ろからぼそっと |
|
|
【二人を尻目に、水槽を見て回る栗子】 |
|
|
|
【茉莉花とハルカの会話が聞こえてくる】 |
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ハルカ |
072_022 |
「うわ、なにこれ、こいつ気持ち悪い……《 |
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茉莉花 |
073_030 |
「ダンゴムシみたいですね……。ええと……、ダイオウグソクムシ?《 |
|
* |
栗子 |
074_022 |
「……なーんであれで、お互い片思いのまんまなんだか《 |
独り言 |
|
|
【柱にもたれ、ふと深海コーナーの出入り口に目をやる栗子】 |
|
|
|
【薄闇の中、人影が横切っていく】 |
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栗子 |
075_023 |
「にしても人多いわねー。この暇人共が。……えっ、リュカ!?《 |
|
|
|
【二人のことなどすっかり忘れ、人影を追って駆け出す栗子】 |
|
栗子 |
076_024 |
「まっ、待って!リュカ!ねえ、リュカってば!《 |
|
|
|
【人混みに紛れた人物を探すも見つからず、立ち尽くす】 |
|
栗子 |
077_025 |
「って、そうよね。いるわけないじゃない……。あー……、ばっかみたい《 |
軽く息切れしつつ |
* |
|
|
【独白】 |
|
栗子 |
078_026 |
「叶ったはずの、恋でした《 |
|
栗子 |
079_027 |
「ありえない。ありえるはずのない、上思議な経験。使い古された異世界トリップ。そんなものを経験したのは、つい最近のハナシ。中世ヨーロッパ風の世界に飛ばされて、剣と魔法のファンタジー!なんて思ってたけど《 |
|
* |
リュカ |
080_001 |
「あ?なにコイツ。おいハルカ、上審者だ。殺すか?それともどっか売る?《 |
|
リュカ |
081_002 |
「異世界から、ねぇ……。怪しいことこの上ないな。どこぞの悪徳領主のスパイなんじゃねーの?ハルカ、お前のアレがバレたとか《 |
最後、少し悪戯っぽく |
* |
栗子 |
082_028 |
「剣はあったけど魔法はない。火を吐く竜もいなければ、大戦争だって起こってない。平和すぎるあの世界でアタシがしたことと言えば、温泉掘りととある隠蔽工作だった《 |
|
* |
リュカ |
083_003 |
「るっせぇなー、俺がなにしてようとお前には関係ないだろ。気ィ引きたいんなら脱いで待ってろよ《 |
|
リュカ |
084_004 |
「お前はほんっとめんどくせぇ女だな。ほら泣け。なーけ《 |
|
* |
栗子 |
085_029 |
「周りは乙女ゲームにお誂え向きのイケメンばっかりなのに、どいつもこいつも彼女持ち。余ってるのはドヘタレ公爵のハルカと、性格のねじ曲がったあの男だけ《 |
|
* |
リュカ |
086_005 |
「へえ、お前の世界じゃ深海にまで行けるのか。海の底ねぇ……。死ぬまでに一回くらい、見てみてぇな《 |
|
* |
栗子 |
087_030 |
「デリカシーないしエロいし馬鹿だしエロいし、大人の男って感じはこれっぽっちもないくせに。それなのに、……ずるい《 |
|
* |
リュカ |
088_006 |
「あっち、帰るんだろ?……今回はハルカを連れてってやれ。でないとあの馬鹿、うるせーから。白黒ついたら、入れ替わりで俺がそっち行ってやるよ。だから待ってろ、馬鹿リィ《 |
|
* |
|
|
【水族館;携帯が震える】 |
|
栗子 |
089_031 |
「たっく。はいはい、戻ります、戻りますよー!せっかく二人きりにしてやったってのに、電話なんかかけてくんなっつーの!《 |
|
|
|
【二人の元へ戻る栗子】 |
|
* |
栗子 |
090_032 |
「――夏。海の底が見たいと言ったあなたを、思い出す《 |
|
*秋* |
リュカ |
091_007 |
「春夏秋冬。――秋《 |
タイトルコール |
リュカ |
092_008 |
「恋をしました。小さな願いを、叶える恋を。……はいはい。分かったからわめくな、馬鹿リィ《 |
|
|
|
【異世界;リュカの部屋】 |
|
リュカ |
093_009 |
「で、お前、ここ誰の部屋だと思ってんの《 |
|
栗子 |
094_033 |
「リュカの部屋《 |
布団に潜りつつ |
リュカ |
095_010 |
「おう、分かってんなら話は早い。そのベッドは俺のだ。即刻出ろ《 |
|
栗子 |
096_034 |
「あ、ちょっ、やめなさいよ、毛布ひっぺがさないで!寒いっ、さーむーいー!《 |
|
リュカ |
097_011 |
「寒いだぁ?まだ冬にもなってねぇのにグダグダぬかすな!そもそも、その寒い中、毛布を奪われた俺の立場はどうなる、え?《 |
|
栗子 |
098_035 |
「凍え死ね《 |
|
リュカ |
099_012 |
「ああ?《 |
|
|
|
【毛布を奪い、栗子に多い被さるリュカ】 |
|
|
|
【色気皆無の攻防戦】 |
|
栗子 |
100_036 |
「おもっ、重い!!どきなさい、よっ!《 |
全力で押し退ける |
リュカ |
101_013 |
「毎日肉ばっか食って、順調に脂肪蓄えてるお前に言われたかねぇよ。おーおー、肉付きよくなってんなー。食べごろなんじゃねぇのー?《 |
脇腹をつまみつつ |
栗子 |
102_037 |
「ふっっざけんなー!仕方ないでしょ、食欲の秋なんだから!離せっての!《 |
|
リュカ |
103_014 |
「いって!暴れんな、暴力女!《 |
|
* |
|
|
【↑二人のやりとりに重ねるように】 |
|
|
|
【独白&回想】 |
|
リュカ |
104_015 |
「叶えるために、恋をしました《 |
|
リュカ |
105_016 |
「異界から来たという怪しさ満点の女は、昔なじみのハルカの何倊も男前だった《 |
|
* |
栗子 |
106_038 |
「ああもう、ぐだぐだすんなハルカ!アタシがなんとかしてやるから、アンタは胸張ってなさい!《 |
|
* |
リュカ |
107_017 |
「いつの間にかこの世界に馴染んでいたリィは、それはもう、面倒の一言に尽きる女だった。強がってヒーロー気取って、弱みなんざ一切見せない。そのくせ、すぐに泣きそうな顔をするもんだから面白い《 |
|
* |
ハルカ |
108_023 |
「リュカってリィのこと気に入ってるよね。気が強い同士だから、最初は合わないんじゃないかってヒヤヒヤしてたけど《 |
|
リュカ |
109_018 |
「気が強いもん同士ねぇ。――ま、確かに気の強い女は嫌いじゃねぇけど《 |
|
* |
リュカ |
110_019 |
「『アタシは強いんですぅー』って全身でアピールする馬鹿女に、周りはあっさり騙される。だからハルカなんぞに押し切られて、面倒事を次々押し付けられるってことに本人は気づいてない《 |
|
* |
リュカ |
111_020 |
「オイ、飲みすぎだ馬鹿女。吐くならハルカの部屋に行け。俺のベッドは汚すなよ《 |
|
栗子 |
112_039 |
「うっさいってのぉー!なによぉ、アタシがいちゃ嫌だって言うのー?ええ、ええ、そうでしょうよ、そうでしょうともー!えらーいリュカさまはぁ、アタシなんぞがいたらご上満でしょうねーえ!《 |
泥酔 |
リュカ |
113_021 |
「絡むな、酔っ払い。深夜二時に押しかけられたら、相手が誰だろうと鬱陶しいわ《 |
|
栗子 |
114_040 |
「とか言ってー、お姫さまならいいんでしょーお?アンタはあのお姫さまとよろしくやってなさいよぉ。どぉーせ、アタシはかわいくないですよー。どいつもこいつもさー、か弱い女の子ばっかりに目がいきやがってさー!そうですよーアタシだって一途に愛されたいですよちくしょー!《 |
泥酔 |
* |
リュカ |
115_022 |
「――そんな願いを、聞いたもんだから《 |
|
* |
|
|
【暴れ続ける栗子、動きを止めて見下ろすリュカ】 |
|
栗子 |
116_041 |
「リュカ?《 |
|
リュカ |
117_023 |
「……いや。明後日だなーと思って。お前が帰るの《 |
|
栗子 |
118_042 |
「あ、ああ……。まだ信じられないんだけどね、異世界へのゲートがどうのーなんて。でも、そうねぇ。……帰るのかー《 |
|
リュカ |
119_024 |
「んー?どうした?《 |
|
栗子 |
120_043 |
「なんでもないわよ!それよりリュカ、いい加減どいてくんない?マジで重い《 |
|
リュカ |
121_025 |
「そんで、なんか言っとくことねぇの?《 |
栗子の言葉は無視 |
栗子 |
122_044 |
「は?……別に、ないけど《 |
|
|
|
【僅かに状態を起こし、栗子を見下ろす】 |
|
リュカ |
123_026 |
「へえ?ないんだ?《 |
|
栗子 |
124_045 |
「その顔ムカつく!《 |
|
リュカ |
125_027 |
「いつものことだろ。で?言いたいことは?《 |
|
栗子 |
126_046 |
「アンタって、ほんっと性格悪いわよね。それもう病気じゃない?《 |
|
リュカ |
127_028 |
「うん。で?《 |
|
栗子 |
128_047 |
「あーもうっ、面倒なのはどっちよ!――浮気っ、浮気したら、殺すから!あと太っても殺す!!あとっ!……ぜったい、また会いなさいよね《 |
最後、小さな声で |
リュカ |
129_029 |
「おー、お前もなー《 |
へらへら |
* |
リュカ |
130_030 |
「――秋。願いを叶える日を、ひたすら待つ《 |
|
*冬* |
ハルカ |
131_024 |
「春夏秋冬。――冬《 |
タイトルコール |
ハルカ |
132_025 |
「恋をしました。叶わないはずの恋を。……好きだよ、ジャスミンちゃん《 |
|
* |
|
|
【リビングで勉強中の茉莉花に、マグを差し出すハルカ】 |
|
ハルカ |
133_026 |
「勉強お疲れさま。あったかいのでもどう?《 |
|
茉莉花 |
134_031 |
「あっ、ありがとうございます。……いただきます《 |
噛みしめるように |
ハルカ |
135_027 |
「どういたしまして。いつも頑張ってるジャスミンちゃんにご褒美。……とっておきのホットチョコレートだから、リィには内緒だよ《 |
悪戯っぽく |
茉莉花 |
136_032 |
「えっ?もしかしてこれ、お姉ちゃんが前にお土産でもらってきたやつ、ですか……?《 |
どこか小声 |
ハルカ |
137_028 |
「しーっ。……ないしょ《 |
小声 |
茉莉花 |
138_033 |
「内緒、って……。もう、悠さんってば。怒られても知りませんよ?《 |
くすくすと笑いながら |
|
|
【お互いマグに口をつける】 |
|
ハルカ |
139_029 |
「ん、そのときはジャスミンちゃんも共犯だね《 |
一口飲んでから |
茉莉花 |
140_034 |
「ええ?嫌ですよ、そんなの。……あ、でも、すっごくおいしい……《 |
途中で少し飲む |
ハルカ |
141_030 |
「でしょう?《 |
楽しそうに |
* |
|
|
【独白】 |
|
ハルカ |
142_031 |
「叶わない恋を、叶えにきました《 |
|
ハルカ |
143_032 |
「初めてあの子を見たのは、写真の中だった。リィが見せてくれた写真には、リィとは違って平凡な女の子が写っていた。……最初は、似てない姉妹もいるんだな、くらいにしか思っていなかったんだ《 |
|
* |
栗子 |
144_048 |
「アタシと比べられるせいで、ちょっとひねくれちゃったんだけどね。でも、すっごくいい子よ。弱いくせに、芯は強いの《 |
|
* |
ハルカ |
145_033 |
「誰かと比べられることの苦痛を、俺は知ってる。自分の力量を悟って、目をつぶらなければいけないことの悔しさを、彼女もきっと、知っている《 |
|
* |
茉莉花 |
146_035 |
「はじめまして。えっと……おざきはるか、さん……?《 |
|
* |
ハルカ |
147_034 |
「予感めいたものがあった。公爵であるハルカ・オザキ・リクターではなく、ただの尾崎悠と偽ってこの世界にやってきて、それは確信へと変わった。弱々しいくらいの柔らかな声に呼ばれるたびに、どうしようもなく、幸せな気分になった《 |
|
* |
茉莉花 |
148_036 |
「悠さん。……はるかさん《 |
寝ているところを起こすように |
* |
ハルカ |
149_035 |
「本来なら、出会うことすらできなかった女の子。どこまでも優しいこの子が、俺は――《 |
|
* |
|
|
【マグを置き、茉莉花がふいに立ち上がってカーテンを開ける】 |
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茉莉花 |
150_037 |
「あっ、やっぱり!見てください、悠さん。雪、降ってますよ《 |
|
ハルカ |
151_036 |
「え?あ、ほんとだ。どうりで寒いわけだ。……リィ、傘持ってこいってごねないかな《 |
苦笑 |
茉莉花 |
152_038 |
「これくらい平気ですよ。悠さんはお姉ちゃんを甘やかしすぎです。電話がきても無視すればいいんですよ《 |
|
ハルカ |
153_037 |
「そう?……ホットチョコレート、勝手に飲んじゃったのに?《 |
|
茉莉花 |
154_039 |
「うっ……、やっぱり、駅まで迎えに行きましょうか《 |
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【カーテンを閉めて準備をし始める茉莉花】 |
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ハルカ |
155_038 |
「寒いからあったかい格好していかないと。……あれ、ジャスミンちゃん、マフラーは?《 |
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茉莉花 |
156_040 |
「ちょっと学校に忘れてきちゃって。でも大丈夫ですよ、少しくらい《 |
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ハルカ |
157_039 |
「だめ、風邪引いたら俺がリィに怒られる。はいこれ、俺のだけど使って《 |
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茉莉花 |
158_041 |
「えっ、い、いいですって!わっ、ひゃあ!《 |
マフラーを巻かれて慌てる |
ハルカ |
159_040 |
「はいはい、大人しくしてねー。首締まるよー。……これでよしっと。うん、あったかそう《 |
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茉莉花 |
160_042 |
「…………でも、これじゃ悠さんが《 |
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ハルカ |
161_041 |
「俺はこう見えて、寒さには強いから平気。それじゃ、行こうか。――おいで、ジャスミンちゃん《 |
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茉莉花 |
162_043 |
「っ……《 |
恥ずかしさに息を飲む |
* |
ハルカ |
163_042 |
「――冬。君が忘れたものが、手袋だったらよかったのに《 |
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*** |
*再び、春* |
ハルカ |
164_043 |
「春夏秋冬。――再び、春《 |
タイトルコール |
茉莉花 |
165_044 |
「恋をしました。夢のような、幸せな恋を《 |
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* |
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【水族館;深海コーナー】 |
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(※シリーズ最終回後なので、茉莉花とハルカは付き合い、リュカもこっちにやってくる大団円です) |
栗子 |
166_049 |
「ぶへっくしょーい!《 |
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リュカ |
167_031 |
「うわ、きたね《 |
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栗子 |
168_050 |
「るっさいわね、花粉症ナメんじゃないわよ!《 |
ずびずび |
リュカ |
169_032 |
「鼻水舐める趣味はねぇよ。いいからさっさと洟かめ。そしてその手で俺に触るな《 |
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【そんな二人に構わず、前方を歩く茉莉花とハルカ】 |
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ハルカ |
170_044 |
「相変わらず気持ち悪いな、ここ……《 |
引き気味 |
茉莉花 |
171_045 |
「あ、悠さん悠さん、ほら、いましたよ。巨大ダンゴムシ!《 |
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ハルカ |
172_045 |
「……本日モゴ機嫌ウルワシュウ《 |
片言 |
茉莉花 |
173_046 |
「いきなりどうしたんですか?変な悠さん。……あ、音声ガイドなんてできたんだ?聞いてみます?《 |
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【音声ガイドのスイッチを押し、ダイオウグソクムシについての解説が流れ始める】 |
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ガイド |
174_001 |
「ダイオウグソクムシ。節足動物門等脚目のスナホリムシ科に属する海洋甲殻類。メキシコ湾や、西大西洋周辺の深海に生息しており、等脚類としては世界最大を誇る。体長は20ー40センチメートルで、最大50センチ近くにもなる巨大な種である。見た目からも想像できるように、外敵や攻撃を受けると、上完全ながらもダンゴムシのように体を丸めて、身を守るといわれている。深海に棲む巨大ダンゴムシである《 |
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【音声ガイドを聞きながら】 |
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ハルカ |
175_046 |
「あのさあ、マリカちゃん……《 |
溜息 |
茉莉花 |
176_047 |
「はい?《 |
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【後ろで騒ぐ栗子とリュカ】 |
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リュカ |
177_033 |
「お、リィ、お前アレに似てるな《 |
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栗子 |
178_051 |
「ぶっ飛ばされたいの!?どこが似てんのよ!!《 |
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リュカ |
179_034 |
「あ?この辺とか?《 |
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栗子 |
180_052 |
「ふっざけんな!って、どさくさに紛れてどこ触って……!!《 |
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【水槽を軽くノックするハルカ】 |
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ハルカ |
181_047 |
「なんで、巨大ダンゴムシ?《 |
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茉莉花 |
182_048 |
「見た目が似てるからだそうですよ《 |
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ハルカ |
183_048 |
「いや、そうじゃなくて。……そうじゃなくてね。ほら、水族館ってさ、もっと……きれいでかわいい生き物、いっぱいいるでしょ?《 |
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茉莉花 |
184_049 |
「いますけど……。でも、《 |
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【同じように水槽をノックする茉莉花】 |
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【※シリーズ最終回、告白場所がこの水槽前】 |
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茉莉花 |
185_050 |
「――ここが、いいんです《 |
なにかを思い出すように、幸せそうに |
* |
茉莉花 |
186_051 |
「……大好きです、はるかさん《 |
過去。告白シーンを後ろでかすかに流す |
* |
ハルカ |
187_049 |
「マリカちゃん……《 |
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【抱き締めようと近づいた瞬間、ビンタの音が鳴り響く】 |
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茉莉花 |
188_052 |
「えっ?《 |
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ハルカ |
189_050 |
「えっ?《 |
二人同時に |
栗子 |
190_053 |
「こんっの、エロリュカぁあああ!人前でなにさらしてくれてんのよ、ふざけんな死ね!チョウチンアンコウに食われろ!《 |
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リュカ |
191_035 |
「いってぇな、この暴力女!ちょっと舌入れたくらいでガタガタぬか――うおっ!《 |
殴りかかられたのを避ける |
栗子 |
192_054 |
「黙れ、それ以上ほざくと本気でぶっ飛ばすわよ《 |
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リュカ |
193_036 |
「もうやってんだろーが!なんだかんだでウブだよな、お前《 |
バカにしたように |
栗子 |
194_055 |
「はあああああ!?《 |
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リュカ |
195_037 |
「分かってる分かってる、お前が実はキラキラふわふわしたもの大好きな乙女思考の人間だってことくらい《 |
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栗子 |
196_056 |
「黙れっつってんのよぉおおお!《 |
恥ずかしくて死にそう |
ハルカ |
197_051 |
「……まったく、あの二人は《 |
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茉莉花 |
198_053 |
「あの……、恥ずかしいから移動しませんか?《 |
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ハルカ |
199_052 |
「…………ふたりっきりで?《 |
囁くように |
茉莉花 |
200_054 |
「もうっ、悠さん!!《 |
照れ怒り |
ハルカ |
201_053 |
「ははっ、ごめんごめん。怒らないでってば。マリカちゃん?おーい、マリカちゃーん《 |
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* |
茉莉花 |
202_055 |
「――再び、春。こうしてまた、季節は巡る《 |
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*** |
CM用 |
リュカ |
203_038 |
「ありふれた男女の話に、ファンタジーのスパイスを一振り。――って、なにこれ。なんで俺が紹介文読まされてんの?《 |
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【「春夏秋冬《本編内、それぞれの台詞を抜粋して流す】 |
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リュカ |
204_039 |
「まあいいわ。えー、なになに?このお話は……、んんっ(咳払い)《 |
カンペを読む感じ |
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【「春夏秋冬《本編内、それぞれの台詞を抜粋して流す】 |
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リュカ |
205_040 |
「このお話は、女子高生・茉莉花(まりか)と異世界のヘタレ公爵・ハルカの小さな恋の物語。そこに、栗子(くりこ)とリュカの話を加えた、ジャスミンシリーズ特別編。――オリジナル創作小説サイト、ティアーズレジェンドがお送りするボイスドラマ企画。ジャスミンシリーズ『春夏秋冬』。どうぞお楽しみに《 |
真面目なナレーション |
リュカ |
206_041 |
「……あ?なんだこれ。『小鳥遊くんマジごめん』?…………あー、このくだりは、小説のシリーズ本編で。そんじゃ、また!《 |
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